Special Perks
熾天使のセンサーアレイ
Stats
防御力 | 0 |
Curated Roll
Lore
ウォーマインドの化身のクローク
彼に必要なものを探させろ。
革表紙の本の上に手書きの現場報告書、その上にデータパッドが積み上げられており、丸窓からこぼれる陽光を浴びている。窓には夕焼け色に染まったリネンのカーテンがかけられ、蔦や藤が絡まりあっている。
オシリスはテーブルの上に身を乗り出す。体の半分は午後の光を浴び、半分は影の中にあった。タブレット端末の1台で音声ログが再生され、ウルラント語の字幕に翻訳される。
<<大気組成は水素、ヘリウム、メタン。スキャンの結果、活動中の建造物や文明は存在せず。>>
オシリスは震える片手を握りしめ、ログに向かって伸ばす。
<<惑星周辺の宇宙船通過経路は存在せず。民間船団を隠ぺいする居住区も存在せず。過去の人類居住の痕跡は存在せず。>>
悪態をついたオシリスは本やメモと一緒にタブレットをテーブルから払い落とす。口から悲鳴を漏らし、怒りのままに振り向くと、セイントと目が合った。セイントがキッチンの入り口から踏み出した瞬間、怒りは羞恥心という冷たい火種に変わった。セイントはアーマーを身につけていない。この姿を目にしたことがある者はほとんどいない。彼の広い肩は、エリクスニー製の鳥の模様が刺繍されたマゼンタとライラックのゆったりしたポンチョで覆われている。
セイントはオシリスに歩み寄り、両手で彼の顔をやさしく包む。その動作で緊張は解け去り、オシリスはセイントの指に頬を当てた。
「どうしてそんなに怒っている?」セイントは尋ねる。穏やかで安心させるような声だ。純粋な質問というよりも、諭すような言い方だった。
「どうやら」オシリスはセイントの手に向かってささやく。「イコラが正しかったようだ。私は… 私は…」恐怖をなかなか言葉にできないオシリスを、セイントは待った。
「…壊れている」
セイントはオシリスを引き寄せ、しっかりと抱きしめ、頭にキスをした。「君はティーカップとは違う」彼は自分より背の低い男の頭に向かってささやく。「人は壊れたりしない。君は壊れていたりなどしない」オシリスは額をセイントの胸に当てた。すぐに、謙虚な気持ちと安心感に包まれる。
オシリスが必要とする限り、抱擁は続く。しばらくして体を起こし、セイントの目を見上げて尋ねる。「それでは私は何だと?」
セイントは簡単に答える。「充分な存在だ」