Exotic Perks
冷たい領域
Stats
| 防御力 | 0 |
Curated Roll
Lore
降霜の衣
「状況の不可能性というのは、どこを見ればいいかさえわかっていれば、柔軟にすることができるのです」――マラ・ソヴ
宮廷の垂木の上に座り、高窓から時計仕掛けの生き物たちを眺めるクロウの姿をマラが見かけるのは、今回が初めてではなかった。
「私と話したいことがあるのでしょう？」彼女は彼が下りてくるのを待たずに、代わりに高い場所にいるクロウのところまで移動した。
「自分にはどうすることもできないと知っていながらも… どうして呪いに苦しむ彼らを見ていられるんだ？」
マラはその質問について考えを巡らせる。「状況の不可能性というのは、どこを見ればいいかさえわかっていれば、柔軟にすることができるのです」兄の打ちひしがれたため息は、彼女が感じている不満をそのまま映し出していた。「あなたは間違っていません。確かに、自分の責任下にある者たちが苦しむ姿を見るのは辛いことです」
近くにいると、光と時間がクロウをどのように変化させたのかがよくわかる。クロウは新しいクロークの紐をいじっている。「エイドは治療薬の研究に行き詰まっている。自分では絶対にそれを認めないがな。今の我々には何の当てもなく、時だけが刻々と過ぎていく」
「彼女が何か無謀なことをするとでも？」彼女は質問した。
「私は愛ゆえに極端な行動に走る者たちを見てきた。彼らはほんのわずかな希望のために法律を破り、どのような戦いにも立ち向かう」
「希望さえあれば十分な時もあります」マラは眼下に見える、今まで幾度となく繰り返されてきた戦いを眺めた。「時として、指導者にできるのは希望を与えることだけです。行動によって橋は築けるかもしれませんが、希望がなくては、私たちは橋を渡って反対側にたどり着くことができません」
彼らの周囲でサイクルが繰り返される。ここは渦巻く反復夢の中心にある静止した点だった。
ほんの一時だけ、彼らは互いの責務を後回しにした。
