Special Perks
女王の恩情
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Lore
テクナ・ウィッチの式服のブーツ
「私はあなたたちの旅の一歩一歩を共に歩む。あなた方全員と一緒に」―—マラ・ソヴ
ドルイスは亜空間の浮き岩の端に立ち、無言で3つまで数えると、跳躍した。
ジャンプの最高点にまで達すると、彼女は周囲に浮揚性パルスの光を放ち、下降していった。狙った岩棚を逸れてゆっくりと下の暗黒へ漂いだしたので、彼女は気まずそうにうめき声を上げた。
掴む場所を探して亀裂の側面に手を伸ばしたが、そのグローブはエグレゴアの肉のような繊毛を滑るばかり。彼女は尻込みした。亜空間にエグレゴア菌が? しかし、両手がその奥に沈んだおかげで落下は遅くなった。一団のねじれるようなエグレゴアに不安定に捕まえられて、巨岩の端で止まることができた。
ドルイスは目を細めて暗闇を見た。波打つエグレゴアの葉状体が視界に入ってくるので、彼女はそれを押しのけた。グリーンのベルベットで出来たローブの袖を口に当て、胞子嚢から絶え間なく噴出される胞子の雲を吸い込まないようにと無駄な努力を試みた。
彼女は精神を集中させ、呟いた。「おいおい、近衛なんでしょ。あんたならできる」彼女はマラ女王のことを考え、上昇するために光を自分の下に集中させる…
べとつく触手が彼女の腕を撫で、充満するようなささやきが精神に押し入ってきた。彼女はそれを振り払うと、もう一度集中力を高める。
ピラミッド前哨拠点に囚われたままの捕虜たちのことを彼女は考えた。何の罪もなく、助けを…
湿った菌傘がブーツにぶつかり、音を立てておぞましい記憶を呼び覚ます。彼女はそれを怒鳴りながら蹴り飛ばして仲間のことを考える。旅の間、彼女が助けた者や、そして彼女を助けてくれた者…
すると、亜空間が再配列された。急激な揺れとともに、彼女の下の石が推移する。上を見ると、深い穴の側面にはびこるエグレゴアが絡み合い、彼女を閉じ込めようとしている。
凍りつくような恐怖に襲われ、次いで怒りが爆発した。ここで死ぬわけにはいかない。こんな場所では。この気味の悪いバケモノのエサになってやるわけにはいかない。自分は…
ドルイスは自分に意識を集中した。
彼女の光が上にほとばしり、空無を切り裂いた。そしてそれがアウォークンを動かす。
小さな紫のクリスタルがブーツの下の地面から螺旋状に芽を出した。彼女の足下で移動していた石は固定され、アメジストの塊に同化していく。
眼前のエグレゴア胞子嚢は表面をクリスタルに覆われて、砂糖漬けの果物のように固まっていた。大きく傾いた、かと思うと自重で折れ、地面に当たって砕けた。
ドルイスは自らの光で周囲を囲んだ。亀裂の側面にあるエグレゴアは燃やされたかのように収縮して、手をかけられそうな清潔な石の表面が露出した。
彼女はうなずき、サッシュをしめると、頂上へと懸命に登り始めた。