Lore
白熱のストライド(未燃)
夏季の宴2022で獲得した火種と残り火を使って、このアイテムをアップグレードしろ。
シティの外壁付近で目覚めた多くの新たな光。セイント14は不在の統括者に代わり、彼らを導く役を担っている。彼は気を紛らわせる何か、仕事、そして何より助けになれる場を欲していた。
自分たちに語りかけるこの生ける伝説について、そして彼の足元で8の字を描いて走り回る珍妙なニワトリについて、彼らの間でささやき声が飛び交う。
「この場は、まだ戦闘訓練を受けていないが、夏季の宴に参加したいという光に向けたものだ。では、さっそく始めよう」彼はまず、古臭い見た目の武器を手にする。「これは標準的なフヴォストフ・ライフルだ。この中にはこれを扱った経験のある者もいるだろう」とセイント。「きわめて単純なので、心得のない者でも心配はいらない」
素早くリロードする方法。照準の調整の仕方。動作不良時の対処法。彼はいくつかの訓練動作を素早く教えていく。そして訓練用の標的の前では、連射の合間に光を織り込む方法を実演して見せる。標的に命中するたびに甲高い金属音が響き渡り、そのたびに彼の横からニワトリのコケッという合いの手が入る。
「落着きと己を律することがカギとなる。ライフルをしっかりと支えてやれば、コントロールしやすい。トリガーは安定して引けば、変に標的から外れることもない。息を整え、絞り込んで、撃つ。それだけだ」
「コケー」
「うむ、まさしく。それでは新たな光たちよ、お前たちの番だ!」
一団が前に踏み出し、各自の標的に集中する。数名の訓練生の狙いは外れるが、緑色を着た一人のガーディアンが全ての弾を命中させ、歓声をあげる。
「コケー」
その新たな光は自分の隣にやってきたニワトリを見て、次に同じくニワトリの方に視線を向けるセイント14を見た。セイントは一瞬の間を置いてから再び声を出した。「ふむ。よろしい。ではもう一度」
「でも、完璧にやったじゃないですか」新たな光は遠慮がちに文句を言う。
セイントは前に踏み出し、その者の肩に片手を置く。「新たな光よ。完璧だからと言って、かならず成功するとは限らない。完璧さとは主観だ。だからこそ、我々は訓練を重ねるのだ」
「でも、全弾当たりました!」
「コケッ… コケー!」
ニワトリの羽根は鋭く、影を作る朝日の中で膨らんでいた。威厳たっぷりに背筋を伸ばして立つそのニワトリに、セイント14は頷く。
「鳩の王たる中佐が、もう一度やれと言っている。言うとおりにしたほうがいい」