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Lore
ブレイズン・スパーク
「誰だって火花は好き… そのせいで火事が起きるまでは」―—アマンダ・ホリデイ
ザヴァラは飛行指導官の向こう側にある、壁掛けの時計に目をやった。忍耐がすり減ってはいたが、こういった会議は急かせるものではない。
「…そして、私のことを『折れ曲がったぶどう』って呼んだんです」と、指導官は不満げに締めくくる。
「それは… 悪口なのかね?」ザヴァラは尋ねた。
「良くはないわね」十代のアマンダ・ホリデイが割り込む。彼女はザヴァラの隣にある椅子にだらしなく座り、長い髪が目にかかっていた。
「ほらね、言ったでしょう!」と飛行指導官は顔を真っ赤にして言った。「このお嬢さんの敬意に欠けた態度は、彼女自身だけでなく、チームメイトにとっても、機体にとっても危険なんです!」
アマンダは呆れた表情で上を向いた。
ザヴァラは若き生徒に向かって口元をへの字に曲げた。「教えてくれて感謝する。この件は適切に対処しよう」
飛行指導官は司令官と握手を交わす。「お願いします。アマンダには才能があります。無駄にしてはもったいない」
話が終わり、アマンダとザヴァラはハンガーベイを歩く。ザヴァラはホーク飛行艇の方を指した。
「ああいう船がどうやって作られているか、知っているか?」と彼は尋ねた。
むすっとした若者は視線を落としたまま肩をすくめる。
「大勢の人間が関わってる」とザヴァラは続ける。「残骸回収屋はコスモドロームでフォールンの攻撃の危険にさらされながら、金属を探して回る。機械工作士は部品を作る過程で火傷し、指を失う。メカニックはそれを動かし続けるために腰を痛める」
「だから何?」アマンダは吐き捨てる。
「指導官に口答えする時」とザヴァラは答える。「あるいは彼らの指導よりも自分のほうが優れていると考える時、お前は彼らを貶しているだけではない。あの船を作り出す人々みんなを貶しているんだ。そして、彼らの犠牲に相応しくない者に落ちぶれていく」
「お前はいつの日かパイロットになる」司令官は確信を秘めた声でそう告げた。「だがその時、お前は自分が仕事に向けるのと同じくらいの熱心さを、関わった大勢の人間もそれぞれの仕事に向けていたのだと、願うしかなくなる」
アマンダは視線こそ上げなかったが、きまり悪そうに頷いた。
「さもなければ」とザヴァラ。「お前は地面を発つことすらできんぞ」