Stats
防御力 | 0 |
Lore
翼の原理
自らと争う双頭の不死鳥が、クルーシブルで互いを高め合うガーディアンを表している。
クルーシブル物語
第2話(全3話)
ドッジボールを進めるうちに空が暗くなり、朝が昼に変わった。子供達の喊声が響き渡った。
試合が終わると、ロンワボは目に涙を浮かべていたが、真っ直ぐ立とうと努力していた。ルナの膝からは血が出ていた。今朝見かけた、うなり声を上げていた2人の少女のチームが勝利し、ルナは彼女達の姿を静かに見つめていた。少女達は形が変わるトロフィーとしてもらった未加工のプラスティールの塊を頭上に掲げて叫んだ。
シャックスはトラベラーを見つめた。青い空で、雲の上に浮いていた。シャックスが見ているなど、気にも留めていない様子だった。
「何を学んだ?言ってみろ」と、シャックスは空を見上げながらルナとロンワボに訊いた。
2人とも口を開き、3分間ほど話し続けた。シャックスはゆっくり頷いた。
「じゃぁ、怒ってないの?」とロンワボは訊いた。その顔がパッと明るくなった。
「お前達は今回の戦いで勝者よりも学んだ」とシャックスは返答した。3人は勝利した2人の少女がプラスティールの塊を地面に叩きつけているのを見た。塊が粉々になった様子を見て、他の子供達は真っ青になった。ルナは目を細め、ドッジボールをぎゅっと握り締めた。シャックスは続けた。「生存の鍵となるのは勝利だ。勝利する必要がある。勝利を掴むために戦う必要がある。だが、そこから学べるものは何もない」
「つまり、ある意味、僕達は勝ったの?」とロンワボは訊いた。
「いや」とシャックスは少年を見下ろした。「お前達は惨敗した」
「あぁ...」とロンワボは言った。
ルナは粉々になったトロフィーと勝利した2人をまだ見ていた。そして、ゆっくりとドッジボールを手の中で回し始めた。
「この敗北を糧にしろ」とシャックスは2人に言った。「だが、対戦は終わりだ。今は、これからのことに集中しろ」
ロンワボは自分の手を見つめた。「僕は... 僕は本を読もうかと思う」。ロンワボは自分が発したその言葉に驚いた。
「選択は人それぞれだ」とシャックスは言った。
ルナは何も言わずにいた。ケイドが影から姿を現し、午後の太陽の光を受けてこちらに歩いてきた。「どうだった?」とケイドはシャックスに訊ねた。
「どうでもいいだろう」
「おい、つれないなぁ。賭けは終わったんだ。すねるなよ。まぁ、ゴールデンガンを持ったハンターにはもう挑戦しないことだな」
「私は逃げも隠れもしない。再戦だ。時間は今夜」
「いいぞ。次の暁旦まで子守りをしてくれるならな」
ルナのボールがケイドの首に当たった。今朝彼女が学んだステルス攻撃だった。ケイドは叫んだ。痛みよりも驚きの方が大きかった。
「誰だ?誰がやったんだ?どうやって?」と転がるボールを横目にケイドは大声で言った。ボールはただ転がっているだけだった。ルナ、ロンワボ、そして他の数人の子供達がくすくす笑った。
「シャックス、一体何を教えてたんだ?」
シャックスは何も言わずにケイドを見つめた。そして、ケイドは瞬きし、「あぁ、スパローを見つけた」と言って話を反らした。「タワーまで送ってやるぞ」
他の子供達と親が帰宅する中、ルナはケイドのスパローが2人のガーディアンを乗せて遠くに見えるタワーへ向かって走り去るのを見た。
2人の姿が見えなくなる時、彼女は訓練してくれたタイタンに敬礼した。